桑の葉 効果 効能

桑の葉とは:昔から薬草として用いられていた

桑の葉

<桑の概要>
名称 桑葉
科名・属名 くわ科 / クワ属
学名 Morus alba(モルス アルバ)
Morus nigra(モルス ニゲラ)
生薬名 桑葉(ソウヨウ)
原産地・分布 中国/ ヨーロッパ・アジア

 

桑の葉は、中国では昔から漢方に用いられる生薬の「桑葉(ソウヨウ)」として、日本でも平安時代にはすでに薬草として記録が残されているほど歴史が長い植物です。

 

古くから季節によるカラダの不調から守る働きがある植物であることが知られ、薬草や民間薬として用いられてきましたが、近年は再び桑の葉の持つパワーが注目されています。

 

ちなみに、桑の実は「マルベリー」とも呼ばれ、最近はスーパーフードとして海外で話題を呼び、日本でもサプリメントとして美容目的に摂取する人が増えてきています。

 

目次を開く →
  1. 桑の葉の栄養素の特徴は「DNJ」を含有していること
  2. 桑の葉の健康効果・研究論文からみる期待される作用
    1. 桑の葉は糖の吸収を抑えて糖値をおさえる可能性がある
    2. 桑の葉は糖によって高くなる圧にもメリットがあるかもしれない
    3. 桑の葉には悪玉コレステロールを抑える働きが期待されている
    4. 桑の葉の食物繊維が腸内環境を整える作用がある
  3. 桑の葉はスタイルが気になる方や美容にも期待ができる
    1. 桑の葉の糖の吸収を抑制する働きがスタイルケアにもよい
    2. 桑の葉のフラボノイドには美容が気になる方にも期待できる
  4. 桑の葉は日頃の食事に足りない栄養の補助食品として最適
  5. 桑の葉の栄養は品種や収穫時期でバラつきがある
    1. 品種や収穫時期によって栄養にバラつきがある
    2. 国産・無農薬、できれば鶴田やはやてさかりの品種がDNJが豊富
  6. 桑の葉の安全性・飲みすぎによる副作用などはないの?
    1. 桑の葉は糖が気になる方や、お薬との併用は大丈夫?
    2. 桑の葉は妊婦・授乳中・子供が飲んでも大丈夫?
  7. 桑の葉の摂り方はお茶のほか、青汁・パウダー・サプリのどれがいいのか?
    1. 続けることが大切なので好みのものを選ぶこと
  8. 桑の葉を飲むタイミングはいつでもOK・糖の吸収が気になる方にはご飯の前がよい場合も。
  9. まとめ・桑の葉は特に糖の吸収が気になる方におすすめ
  10. 参考文献

桑の葉の栄養素の特徴は「DNJ」を含有していること

桑の葉は優れた栄養成分を含んでいます。そのなかでも、特徴的な成分と言えるのが、「DNJ(1−デオキシノジリマイシン」と呼ばれる成分です。

 

自然界の植物や微生物の中でも「DNJ」を含む生物は少なく、桑の葉に優れた健康効果があるのはこのDNJのおかげだと考えられています。

 

桑の葉はカルシウム・鉄分・亜鉛も豊富に含んでいる

桑の葉は、他にもビタミンC、ミネラル、食物繊維(特に水溶性)などの栄養素が豊富で主に次のような栄養を含んでいます。特にミネラルとしてはカルシウムが豊富であることが特徴です。

 

カルシウム・・・小松菜の1.5倍、明日葉の5倍、牛乳の27倍

 

鉄分・・・ケールの5倍

 

亜鉛・・・クレソンの3倍

 

他にもイライラなどによいといわれるγ-アミノ酪酸(GABA)、美容サポートによいといわれるフラボノイドなども含んでいます。

桑の葉の健康効果・研究論文からみる期待される作用

桑の葉には様々な研究論文が発表されておりますが、健康維持の面では、糖値が気になる方やお腹を整えるなど様々な健康維持に役立つ可能性があるという論文が存在しました。(2019/02/08現在)

 

ただ、桑の葉の効果効能を示すものではなく、可能性があるということです。

 

桑の葉は糖の吸収を抑えて糖値をおさえる可能性がある

桑の葉には糖値を抑える効果が期待できること言われています。すなわち生活習慣のケアが期待されていて様々な研究が進んでいます。(1)

 

桑の葉を一定期間にわたり摂取することにより、糖値が気になる方の数値がおだやかになったいう報告があります。(1) これは桑の葉にふくまれるDNJという成分によるα-グルコシダーゼという酵素の阻害が関係していると言われています。

 

α-グルコシダーゼというのは、炭水化物の消化吸収をサポートする消化酵素のこと。エネルギーを蓄えるために重要な役割をする酵素です。

 

DNJはこの酵素のはたらきを抑制することで、炭水化物に含まれる糖の吸収を遅らせる可能性があるとされており、桑の葉には糖が気になる方にうれしい効果がある可能性がある考えられています。(4)

 

桑の葉は糖によって高くなる圧にもメリットがあるかもしれない

マウスを使った実験段階ではありますが、クワの葉を8週間摂取させることで糖の吸収がおだやかになるとともに、たかい圧も同時におだやかになった報告があります。ヒトにおけるデータが少ないため研究段階ではありますが、肥満や塩分のとりすぎが原因で圧がたかい方が摂取することによってもメリットがある可能性があると期待されています。(1)

 

桑の葉には悪玉コレステロールを抑える働きが期待されている

現代人は高脂肪の食事や運動不足などの影響でドロドロによる不調の予備軍の方が増えているのが実状です。

 

マウスを用いた実験データによれば、桑の葉によるドロドロの抑制作用が確認されています。研究論文によると不調のメカニズムの一つであるLDL(悪玉コレステロール)の酸化を抑えて、正常なサラサラへサポートをする働きが期待できる可能性があるとのこと。ヒトへの効果は研究段階ですが、ドロドロが原因による不調ケアの可能性が期待されています。(1)

 

桑の葉の食物繊維が腸内環境を整える作用がある

桑の葉に含まれる水溶性食物繊維には、お腹をなかからケアする働きがあるだけでなく、活動を整える作用も。

 

さらに桑の葉の場合は、糖が吸収されるのを抑える働きも有するため、吸収されなかった糖質が腸内環境をおだやかにするサポートが発揮される可能性も考えられます。

桑の葉はスタイルが気になる方や美容にも期待ができる

桑の葉には美容サポートに関する研究論文は「スタイル」に関する内容と、「エイジングサポート」に関する内容が発表されています。(2019/02/08現在)

 

桑の葉の糖の吸収を抑制する働きがスタイルケアにもよい

桑の葉には糖の吸収をおだやかにする働きがあるため、糖が原因による増加をおさえることにも役立つ働きが期待できます。(4)

 

食事から摂取した糖質は体の中に入ってエネルギーとして使われますが、使いきれずに余った分は中性脂肪などの形になって体内に貯蔵されます。糖質オーバーの生活をしていると、脂肪が体に溜まって太ってしまうわけです。

 

桑の葉を摂取することで糖の吸収をおさえることで、糖値が上がりすぎないようにコントロールすることは肥満対策のアプローチに。スタイルが気になる方が桑の葉を摂取することは良いサポートになると考えます。

 

桑の葉のフラボノイドには美容が気になる方にも期待できる

桑の葉に含まれるフラボノイドには美容が気になる方が摂りたい成分です。フラボノイドは体のサビつきの進行をおだやかにする働きが期待でき、特に加齢による衰えや外見の変化を若々しく保つことに繋がります。

 

さらに桑の葉には食物繊維も豊富であることから、なかからの美容サポートにも役立つと可能性があります。

桑の葉は日頃の食事に足りない栄養の補助食品として最適

桑の葉にはビタミン、ミネラル、食物繊維、フラボノイドなどの様々な栄養成分が含まれています。そのため毎日の食事で補いきれない栄養素を補助することができるので、忙しい人や食事が十分に摂れない人にもおすすめです。

 

バランスの栄養を効率よく摂取することができるので、毎日のどんより感や手足のめぐり、クラクラや骨の健康などにも役立つでしょう。

桑の葉の栄養は品種や収穫時期でバラつきがある

桑畑

桑の葉と言ってもその品種や産地などによって含まれている栄養価が異なることがあるとうぃあれています。(3) 次の選び方を参考にして、品質の良い桑の葉を見つけてください。

 

品種や収穫時期によって栄養にバラつきがある

日本では、一ノ瀬、はやてさかり、しんいちのせ、みなみさかり、改良鼠返などの品種が栽培されています。そして、主に桑の葉は5月ごろから秋頃までの間で収穫されます。

 

収穫時期によって有効成分のDNJの含有量は差があり、例えば改良鼠返という品種の春先の新芽には多くのDNJが含まれ、また、加熱をしない乾燥法を用いた方が多く含まれることも分かっています。(3)

 

また、別の研究では6、7、8、9月の葉では8月の葉が最もDNJを含んでいるという報告もあります。

 

国産・無農薬、できれば鶴田やはやてさかりの品種がDNJが豊富

最近はクワの品種改良が進んでいるため、新しい優れた品種が増えてきています。特に、「鶴田」や「はやてさかり」は現在の主原料である「一ノ瀬」「改良鼠返」よりもDNJを高含有するため注目の品種です。(2)

桑の葉の安全性・飲みすぎによる副作用などはないの?

桑の葉は長い歴史の中で愛用されてきた食品であり、経験的にも安全であるとされています。ただし、体質によってはお腹が張る、ガスが溜まるなどの症状がまれに出ることがあります。気になる場合には飲む量を減らすか、一旦お休みして様子をみてください。

 

飲み過ぎはピリピリやかゆさなど不調を起こす可能性もありますので、初めて飲む時や食べ物によって不快感をおこしやすい方は気をつけるようにしましょう。

 

桑の葉は糖が気になる方や、お薬との併用は大丈夫?

糖値を下げる働きがあるため、例えば糖が原因による不調で医師のかかりつけの方はあらかじめ相談しておくことをおすすめします。

 

桑の葉は妊婦・授乳中・子供が飲んでも大丈夫?

妊娠中には糖の摂りすぎには注意が必要な場合もあるためめ、桑の葉を摂取したいと思ってる人もいることでしょう。

 

桑の葉をお茶として楽しむ程度に摂取する限りでは、カフェインも入っていないので妊婦さんでも飲むことはできます。

 

ただし、臨床試験で安全性を確認したデータなどは存在しないので、飲みすぎないこと。適度の量を摂取することをおすすめします。

桑の葉の摂り方はお茶のほか、青汁・パウダー・サプリのどれがいいのか?

桑の葉茶

桑の葉のエキスを摂取するには、お茶の他にも青汁、パウダータイプ、錠剤などのサプリメントタイプがあります。どれも健康食品であるため効果に大きな違いはありません。

 

普段飲んでいるお茶の代わりに桑の葉茶を飲むだけで気軽に桑の葉のエキスを摂取できるため、初心者はお茶から始めてみると良いでしょう。

 

続けることが大切なので好みのものを選ぶこと

青汁やパウダーであれば桑の葉を丸ごと粉砕しているので、葉の栄養をそのままに摂取できるというメリットがあります。味が苦手という人や手軽さを重視したい人にはサプリメントがおすすめです。

 

桑の葉の効果を実感するには続けることが大事ですので、自分が飲みやすい形状のものを選ぶことが大事です。

 

桑の葉を飲むタイミングはいつでもOK・糖の吸収が気になる方にはご飯の前がよい場合も。

桑の葉を飲むタイミングはお薬ではないため特別な決まりはありません。

 

ただし、食事による糖の吸収が気になるひとは、ご飯の前か一緒に飲むと効果的です。その他、栄養補給や美容目的などの場合では、ご自分が飲みやすいタイミングで問題ありません。

まとめ・桑の葉は特に糖の吸収が気になる方におすすめ

桑の葉には他の植物にはあまり含まれることがない「DNJ」という注目成分が含まれています。特に糖の吸収が気になり出した人におすすめですが、他にもドロドロによる不調や美容、スタイルケアなど幅広く愛用いただける食品です。

 

まだ、ヒトへの有効性や安全性については不明な点も多いので、今後の研究の発展が期待されます。

 

長い間に日本人に愛されてきた桑の葉。お茶からサプリメントまで幅広い形状で市販されているので、自分にあったタイプを選んで取り入れてみてはいかがでしょうか。

 
笹尾真波さん

この記事のライター薬剤師:笹尾真波

薬剤師および薬学修士。
趣味はヨガと旅行。
大学院卒業後、某内資系製薬企業にて市販薬の企画開発・マーケティングなどに携わる。その後、都内大型門前病院前のドラッグ併設調剤薬局にて調剤業務および市販薬のバイヤー・在庫管理・販売にも携わる。サプリメント・ハーブやオーガニックコスメ販売にも従事。

外資系製薬企業にてDI業務および学術情報部門で4年ほど勤務(主に糖尿病、免疫関連を担当)。その後、小児科門前の調剤薬局にて管理薬剤師の経験を積む。
現在は非常勤薬剤師として調剤薬局で勤務する傍ら正しい薬の使い方、さらに生活習慣や食習慣の改善を提案をする薬剤師ライターとしても活動中。

 

参考文献

(1)勝部拓矢, 杉山万里, 小山朗夫.(2011年) “クワの健康機能性研究の最前線,” 蚕糸・昆虫バイオテック,80巻(1号),p. 1_019-1_027.

(2)Kimura et al.(2003) “H16東北農業研究成果情報,” J.Agric.Food.Chem,52,p. 1415-1418.

(3)桑の葉の製品には栄養成分のバラつきがおおきい
https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/tohoku_news12p7.pdf

(4)R Wang, Y Li, W Mu, Z Li, J Sun, B Wang, Z Zhong.(2018年) “Mulberry leaf extract reduces the glycemic indexes of four common dietary carbohydrates,” Medicine,97巻(34号),e11996.PMCID: PMC6113008.

(5)Bennet A, Sie P, Caron P, Boneu B, Bazex J, Pontonnier F, Barret A, Louvet JP.(1987年) “Plasma fibrinolytic activity in a group of hypogonadic men.,” Scand J Clin Lab Invest,47(1):23-7.

(6)マウス実験では脂質代謝改善作用や抗炎症作用、酸化ストレス抑制作用がある
http://www.jafra.gr.jp/f345.html

(7)厚生労働省 「健康食品」の有効性・安全性情報
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail98.html

 

このページの先頭へ戻る