ケールの効果

ケールに期待できる可能性を研究論文から考察

ケールは美容によいだとかスタイルが気になる方によいだとか、とにかく健康によいというような情報があちこちで飛び交っています。

 

しかし、なかには「それって本当?」と思ってしまうような情報があることもまた事実です。一つひとつの情報を見ていくと、正しいものから誤ったものまでさまざま。

 

今回は薬剤師の筆者がケールに関する研究論文を精査し、期待できる可能性や飲み方を考察。そのほか、ケールの食べ方や青汁の選び方まで解説させて頂きました。

 

ぜひ参考にして頂けると幸いです。

 

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  1. ケールの健康効果はコレステロールや糖の吸収が気になる方に期待
    1. コレステロールには1日150mlのケールジュースを。
    2. 血糖値には食事と一緒に。
    3. 中性脂肪が気になる方はケール粉末を1日2回
  2. ケールの美容効果は乾燥や老化ケアに期待
    1. 乾燥対策には12週間を目安にケールを摂取する
    2. 1日1杯以上のケールの青汁で老化の進行を抑える効果も?
  3. 花粉が原因のむずむずや、ガサガサなどのかゆさに関してはケールでなくてもよいかも。
    1. デリケートな荒れにはケールを飲み続けることでIgE値に期待
    2. 花粉症はケールが目の症状を和らげる可能性
    3. ガサガサやかゆさはケールを飲みつづけることで症状を抑制する可能性
    4. 夜のぐっすりに関してはケールだけでは無理?
  4. ケールの栄養成分と栄養価について
    1. ケールは顔や脚のパンパンや骨や歯の健康が気になる方にも最適
  5. 生のケールは蒸して食べると栄養を破壊せず補給できる
    1. ケールは茹でて調理することはもったいない!
    2. ケールの青汁を選ぶなら冷凍タイプかフリーズドライの粉末を。
  6. ケールの食べ過ぎや青汁の飲みすぎによる不調の可能性
    1. 食物繊維の摂りすぎでお腹を下す場合がある
    2. 妊娠中や授乳中の栄養補給にもケールはおすすめ
    3. ケールは子供の成長によいサポートになるという結果も。
  7. ケールと大麦若葉との違いは味と食物繊維
  8. 総括:日々のバランスよい食事にケールを取り入れよう!
  9. 参考文献
    1. SPECIAL CONTENTS

ケールの健康効果はコレステロールや糖の吸収が気になる方に期待

ケールの健康維持に期待できる効果については、コレステロールや糖の吸収が気になる方に関する研究論文が存在しました。

 

それぞれの論文内容にあわせて、適切だと考えられるケールの摂取方法や飲み方を記載しましたので参考にして頂けたら幸いです。

 

コレステロールには1日150mlのケールジュースを。

コレステロールの値が気になる方にケールがよいという話がありますが、これに関してはいくつかの研究結果が出ています。ケールをジュース状にしたものを12週間飲むことで、悪玉コレステロールと呼ばれているHDLコレステロールを下げられたとのデータがあります。(1)(2)

コレステロールのための飲み方の目安

コレステロール対策のためのケールの摂取方法は、研究論文では1日の摂取量は150ml〜300mlのケールジュースを使用していること。期間は6週間〜12週間であることから、この量と期間を目安に飲むことが良いと考えます。

 

ただ研究論文では「ジュース」とされているため、ケールを生絞りにしたものなのか、青汁のようなケール粉末を溶かしたものなのか分かりにくい部分があります。

 

生絞りに近い形で摂りたい方はキューサイの冷凍タイプのケールの青汁を使用すると手軽に摂ることができると思います。

血糖値には食事と一緒に。

糖値に関してもいくつかデータがあります。糖の吸収が気になる方に食事と一緒にケールを摂ってもらったところ、食べたあとの糖の吸収が穏やかに抑えられたことが確認されています。

 

キューサイが発表している研究論文では、ケール粉末に含まれる食物繊維が糖の吸収をおだやかにすることが期待できるとしています。(3)

 

ケール摂取による食後血糖値に与える影響

糖の吸収が気になる方の飲み方と目安

糖の吸収が気になる方の目安量として1日7g以上のケール粉末を摂取することとしています。ケールの粉末青汁は一包3gの製品がおおいため、約2包〜3包を食事を同時に摂取することがよいと考えます。

 

ただ、3食毎に続けると1日9包も摂ることになるため、炭水化物がおおい食事時などに限定したほうがよいかもしれません。

中性脂肪が気になる方はケール粉末を1日2回

ケールの粉末を1日2回、中性脂肪の値がやや高めの方に12週間飲んでもらったところ、中性脂肪の値が減ったという研究があります。ケール粉末を7g以上摂ると中性脂肪の低下が見られたとのことです。ケールを飲まなかった方たちと比べると大きく中性脂肪の値が低下していますので、ケールが中性脂肪の値を低下させる効果については期待できるでしょう。(4)

 

空腹時血中中性脂肪値の変化量

中性脂肪のための飲み方の目安

中性脂肪が気になる方のための飲み方としては、ケールの粉末青汁を1日2回(7g以上)を目安にすること。青汁製品のほとんどは一包あたり3gとなっているため、1回2包を目安に8週間〜12週間の期間を目安に効果の様子をみながら摂ることがよいと考えます。

ケールの美容効果は乾燥や老化ケアに期待

ケールの美容関連の研究論文には、乾燥をはじめ、ガサガサや花粉などの不調対策などの研究論文があり、そのなかでケールの効果が期待できるといえるのは、「乾燥」に関する効果が期待できるのではないかと考えます。

 

乾燥対策には12週間を目安にケールを摂取する

実はケールを毎日摂取することで、乾燥肌の対策ができることがわかっています。ケールを12週間摂ってもらったところ、皮膚の水分量が増加する可能性があるという研究論文があります。

 

これはケールに含まれるグルコラファニンという成分が関係しています。グルコラファニンやその代謝物にはコラーゲンやヒアルロン酸の産生を促す働きがあるため、グルコラファニンの含まれているケールを摂取することで皮膚の水分量が増加したという内容です。(5)

 

皮膚水分量の変化量

乾燥が気になる方のためのケールの飲み方(目安)

グルコラファニンをおおく含有するのはケールのなかでも、ハイパーケールという品種です。市販で食材として購入するのは難しく、青汁として摂ることがよいと考えます。

 

1日にグルコラファニン20mgを含むケールの青汁は、ヤクルトから発売されているハイパーケールという青汁があります。2包あたりグルコラファニン25mg摂取できるので、手軽にとるならこの製品をおすすめいたします。 2019/2月現在この製品はヤクルトレディからのみ購入可能となっています。

 

1日1杯以上のケールの青汁で老化の進行を抑える効果も?

ファンケル総合研究所を含む4社で行われた研究論文では、ケールが老化の進行を穏やかにすることが期待される内容があります。1年以上ケールの青汁を飲んでいる110名の50歳〜59歳の女性に対し美容健診を実施。

 

ケールの入った青汁を1日に1杯以上飲んでる女性のほうが、飲んでない人と比べて老化の症状が低かったことから、ケールの長期摂取は老けの進行を抑えることが期待できる可能性があるかもしれないという内容です。(6)

老け見えが気になる方の飲み方(目安)

1日1杯以上のケールの青汁を1年以上飲むことが目安となりますが、研究論文ではファンケルの青汁を使用していたため、同じように飲み始めるならファンケルの青汁を検討するのもよいと考えます。

花粉が原因のむずむずや、ガサガサなどのかゆさに関してはケールでなくてもよいかも。

ケールは花粉が原因の不調や、食べ物や遺伝によるガサガサやかゆさ、また夜のぐっすりにもよいといわれていますが、実際のところ立証されている論文がほとんどありませんでした。

 

唯一、キューサイ研究所が行ったデータがありますが、あくまで推定されるもので明確にケールの効果である可能性があるというが立証されている内容ではありませんでした。(7)
※2019/2月現在

 

そのため、これらの症状に関してはケールでなくても他のよい素材があれば、それでもよいと考えます。

 

デリケートな荒れにはケールを飲み続けることでIgE値に期待

ストレスや環境で、デリケートな荒れが気になる方はIgEというタンパク質の働きが大きく関係しています。デリケートで敏感な荒れの症状はこのIgEの値が高いのです。ケールを常飲することでこのIgEの値が下がり、症状が緩和される可能性があると言われています。

 

花粉症はケールが目の症状を和らげる可能性

毎年春になると猛威を振るうスギ花粉ですが、花粉症の症状をケールが抑えてくれる効果も期待されています。花粉の飛散時期にケールの入った青汁を飲んでもらったところ、とくに目の症状を抑えられたとの研究があるのです。ただしこちらもあくまで可能性があるだけで、絶対的なものではありません。

 

ガサガサやかゆさはケールを飲みつづけることで症状を抑制する可能性

ケールには食べ物んいよるガサガサやかゆさが原因となるサイトカインという物質の産生をおだやかにする働きがあることがわかっています。ケールを毎日飲み続けることで、ガサガサやかゆさが原因を少しずつおだやかにしてくれるのでは?と考えられています。

 

夜のぐっすりに関してはケールだけでは無理?

夜のぐっすりサイクルを整えると言われているメラトニンという成分をご存知でしょうか。メラトニンは私たちの体の中でも作られている成分で、夜になると活発に分泌され始め、朝になると分泌量が減ります。

 

睡眠促進ホルモンとも呼ばれるメラトニンが多く分泌されると、眠気が催されるというわけです。このメラトニンがケールにも実は含まれています。

 

しかし眠気を催すほどのメラトニンをケールで摂取するためには、ケールを60kgも食べなければいけません。これは現実的ではないですよね。つまりケールでぐっすりサイクルをよくすることは難しいと言えます。

ケールの栄養成分と栄養価について

緑黄色野菜の王様といわれるケール。どのような栄養を含み、ほかの野菜と比べてなにが違うのか知らない方もおおいと思います。

 

ケールには、さまざまな栄養素がバランスよく含まれていますが、そのなかでも特におおい栄養素が以下の4つです。

 

・カリウム
・カルシウム
・β-カロテン
・ビタミンC

 

ケール100gあたりの成分量は、カリウムが420mg、カルシウムが220mg、β-カロテンが2900μg、ビタミンCが81mgとほかの野菜に比べると特に優れています。(7)

 

ケールは顔や脚のパンパンや骨や歯の健康が気になる方にも最適

ケールには上に記した4つの成分がとくに多く含まれていることから、骨や歯の健康が気になる方、あとはなかから美容ケアをしたい方に向いていると考えます。

むくみが気になる方

カリウムには水分を外に出してくれる働きがあります。塩分を摂りすぎたときなどはとくに意識して摂りたいで成分です。

 

歯や骨の健康が気になる方

カルシウムは歯や骨を丈夫にするために欠かせない成分です。ケールにはカルシウムの他に、骨の形成を促すビタミンKも多く入っています。

 

老けの進行が気になる方

β-カロテンやビタミンCには、体の老けを進める働きを穏やかにする働きが期待できます。いわゆるサビから守るというものです。またビタミンCにはメラニンの生成を抑える働きもあるため、光ダメージによる老け見えの進行をケアをしたい方にもおすすめできます。

生のケールは蒸して食べると栄養を破壊せず補給できる

生のケールはとにかく苦味が臭いの癖が強く、そのまま食べるのには向いていません。そのため栄養素をあまり壊さずにケールを食べたいのなら加熱のしすぎに注意すること。

 

なるべくは蒸す、もしくは油で軽く炒めるといった方法がよいでしょう。ちなみに蒸すことで美容サポートによい成分が増加することがわかっていますので、美容を気にする方は蒸して食べるといいかもしれませんね。

 

ケールは茹でて調理することはもったいない!

ケールの調理方法としては茹でる、蒸す、油で炒めるなどの方法がありますが、この中でもっともおすすめできない調理方法が茹でる方法です。

 

茹でてしまうとケールに含まれているビタミン、とくに水溶性のビタミンがケールから流れ出てしまいます。また熱を加えることで破壊されてしまうビタミンもあることから、本来なら生で食べることが1番です。

 

ケールの青汁を選ぶなら冷凍タイプかフリーズドライの粉末を。

ケールの栄養素を惜しみなく摂り入れるためには、できるだけ栄養素が失われていない青汁を選ぶ必要があります。液体、顆粒、フリーズドライ、そして錠剤タイプとあるなかで、でもっともケールの栄養素が損なわれにくいのは冷凍タイプ(液体)とフリーズドライのものです。

 

液体の場合は、ケールを搾ったものをそのままパッケージングしているため、栄養素が壊れにくくなっています。またフリーズドライのものは、高温での処理をしないため、ケールに含まれている栄養素が熱で破壊されにくいのが特徴です。

ケールの食べ過ぎや青汁の飲みすぎによる不調の可能性

いくら体によいと言われるケールであっても、摂り過ぎは禁物です。これはケールに限ったことではなく、すべての食物に言えます。青汁のように加工されたものを飲む場合は、購入した青汁の摂取目安量を参考に飲みましょう。ケールを調理して食べる場合は、他の野菜も合わせて1日350g程度摂れると理想的です。

 

食物繊維の摂りすぎでお腹を下す場合がある

ではケールを摂り過ぎるとどのような害が起こる可能性があるのでしょうか。ケールには食物繊維が多く含まれています。食物繊維は頑固な詰まりに悩む方によいことで有名ですね。しかし摂り過ぎることにより逆に出が悪くなったり、逆に下痢になってしまう場合もあります。

 

妊娠中や授乳中の栄養補給にもケールはおすすめ

妊娠中には、カルシウムを積極的に摂ることが推奨されています。カルシウムを意識的に摂っておかないと、胎児の骨格の形成をする際、たりないカルシウムを母体の骨格から補おうとしてしまうためです。

 

そのため妊娠中の女性は1日に1,000mgのカルシウムを摂ることが推奨されています。ケールにはカルシウムが多く含まれている他、妊娠中に不足しやすい鉄分や葉酸も含まれているので、栄養補給としてはよい食物でしょう。

 

ほうれん草のように、カルシウムの吸収を妨げるシュウ酸も含まれていません。ただし、医師から摂取できる食物について制限されている場合は、医師の指示に従ってください。

 

ケールは子供の成長によいサポートになるという結果も。

ケールには多くの栄養素が詰まっていますので、子どもの健康維持にも使えます。小学2年生〜4年生の男女にケールのジュースを毎日飲ませたところ、ケールを飲ませなかった子どもたちよりも身長が伸び、不調にかかりにくくなったというデータがあります。(8)

ケール摂取に関する身長比較

ケールと大麦若葉との違いは味と食物繊維

青汁といえばケールも有名ですが、大麦若葉を使ったものもよく見られます。ケールと大麦若葉との違いとは何でしょうか。飲んだときにすぐ感じる違いとしては、味でしょう。

 

ケールは独特の苦味がありますが、大麦若葉にはほとんど苦味がありません。栄養価については、どちらも優れていると言えるでしょう。

 

あえて違いを述べるとしたらケールの方がカリウム、カルシウム、βカロテン、ビタミンCが多く含まれています。一方で大麦若葉の方が食物繊維は多いです。

 

そのため、朝の詰まりが気になる方・出が悪い方は食物繊維がおおい大麦若葉の青汁のほうがよいと考えます。

 

総括:日々のバランスよい食事にケールを取り入れよう!

ケールの効果を見ていくと、さまざまな健康や美容サポートによいことがわかります。

 

また、糖が気になる方にもよい食物であると言えます。

 

またプレママさんや子どもの栄養補給にも使いやすいです。日々のバランスのよい食事を基本として、摂り過ぎに注意しながらうまく生活に摂り入れていくことがおすすめです。

 
ケールの効果・効能や青汁の栄養を薬剤師が研究論文から考察しました。

この記事のライター薬剤師:木村

薬学部を卒業後、大手ドラッグストアでOTC専門薬剤師として4年間勤務。なるほど青汁では薬剤師の資格を活かしながら確かな情報を分かりやすくを発信している。

 

参考文献

(1)Kale Juice Improves Coronary Artery Disease Risk Factors in Hypercjlolesterolemiic Men J-GLOBAL ID:201102210820282803 整理番号:10A1348991

(2)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25671068

(3)Intake of kale suppresses postprandial increases in plasma glucose: A randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover stud

(4)Hypotriglyceridemic Effect of Kale−A Randomized, Double-blind, Parallel-group,Placebo-controlled Study−薬理と治療 2016 年 9 月号

(5)Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療) 2018;46(11):1883-93.

(6)http://www.toukastress.jp/webj/article/2016/GS16-04J.pdf

(7)健康食品・サプリメント[成分]のすべて2017(書籍)

(8)https://www.fancl.jp/news/pdf/20180530_kalejuicekenkouijiseichou.pdf

 

 

SPECIAL CONTENTS

  • ケールの効果・効能や青汁の栄養を薬剤師が研究論文から考察しました。
  • ケールの効果・効能や青汁の栄養を薬剤師が研究論文から考察しました。
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